七五三にみる現代の行事のあり方


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10月になるとあちらこちらの神社や寺に、可愛らしく着飾った子供を連れた家族が、参拝に訪れる様子を目にします。
穿きなれない着物と草履でちょこちょこと歩く子供の姿に「今年も七五三の時季がやってきたな。」と、微笑ましく感じますね。
どちらの親御さん、ご祖父母さんもはしゃぐ子供に手を焼きながら、ほんの少し疲労を思わせる表情ですら幸せに満ちた光景に思えます。

子供の健やかな成長と、節目の年を迎えられた事を感謝する日本の伝統行事「七五三」ですが、いつごろから行われていたのでしょう?
「七五三」にまつわる由来と、「七五三」からみる現代の行事のあり方について触れてみました。

七五三の由来


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「七五三」の起源は平安時代の儀礼にあるそうです。かつては子供の死亡率が高かったことから、無事に成長したことに感謝し、将来の長寿を願ったとされています。
その後、武家社会を中心に江戸から全国に広がり、年齢ごとの儀礼が定まったのは江戸時代とされています。
また、庶民の間に広がった由来にも諸説ありますが、江戸幕府第五代将軍、徳川綱吉の長男、徳川徳松の健康を願って行われた催しが、天和元年(1681年)11月15日に行われたことにまつわるそうです。
しかし、徳川徳松も5才という幼さで亡くなっています。それだけに、子供が3才・5才・7才を迎える事が現代よりも難しく、儀礼が厳粛に行われていたのだと思われます。
かつてはどの様な儀礼が行われていたのか、年齢ごとの意味と内容をご説明します。

男児女児 数え年3才(満年齢2才になる年)

平安時代、男児女児ともに丈夫な黒髪が生えるように、生後7日目に産毛を剃り、「髪置き(かみおき)」の年を迎えるまで髪を剃っていたとされています。
「髪置き」とは、髪を伸ばし始めるのを祝う儀礼です。
白髪になぞられた白糸などを子供の頭にのせ、髪の成長を願うとともに、白髪になるまで長生きすることを祈願しました。
3才は発育の上で、言葉を理解する頃の節目の年齢にあたります。

男児 数え年5才(満年齢4才になる年)

幼児から子供へと成長したことを祝い、大人の礼服である袴を初めてつけさせる「袴着(はかまぎ)」という儀礼を、5才の男児に行われました。
5才は知恵がつき大人と同じ様な感情が揃う頃とされています。
古くは平安時代の公家の間で、男女の別けなく3才から7才の時に行われていましたが、江戸時代から5才の男児に定着したそうです。

女児 数え年7才(満年齢6才になる年)

女児が紐付きの着物から、本裁ちの着物になり、大人と同じように丸帯を絞める「帯解き(おびとき)」を行います。
7才は乳歯が生え代わる年齢で、帯も一人で結べるようになり心身ともに一人前の人間として、社会に認められました。

「七五三」の儀礼には、様々な生命の危機を乗り越えて節目の年を迎えられた事への感謝と子供の長寿を祈願するものでした。

現代の七五三のあり方


七五三にみる現代の行事のあり方bg3 今では、昔とは違い病気がすぐさま命の危機に繋がることはなくなりました。
「七五三」の儀礼も、かつてのような「どうか生き永らえて、無事に節目の年を迎えて欲しい」と、言う様な意味合いではなくなりました。
ですが、子供の健やかな成長を神仏に感謝し、これからの将来の幸福を願う神髄は伝統行事として受け継がれています。
お子さんに向けた親御さん、ご祖父母さんの深い愛情表現として「七五三」を迎えられていることでしょう。
節目の年を迎えられた際には、子供の成長をいつもにも増して感じる事と思われます。

「七五三」の参拝の際に気をつけたいことがまとめれたサイトがあるので、こちらも是非参考にしてみてください。
♠出典:「こそだてハック」より
七五三の前に確認!神社での参拝の仕方、手順と注意点まとめ

七五三について まとめ


子供の成長を祝うという意味では誕生日も同じですが、七五三と誕生日の違うところをあえてあげると、子供の発育を荘厳に祝い、無事に節目の年を迎えられた事を深く感謝することにあると思います。
衛生面や衣食住が向上し、医療も充実している現在ですが、お子さんが誕生し、七五三を迎えるまでには現代でもけして平坦なものではありません。
昔でも現代でも親御さんご祖父母さんの深い愛情と、子育ての大儀があるからこそ、無事に迎えられるのです。そこには、きっと見えない力がご家族を見守ってくれているのだと思います。
目まぐるしい日々では、おそらく多くの方が普段から神仏へのご加護に感謝をする機会はなかなかないと思います。
「七五三」はお子さんの成長を感謝するとともに、神仏への日々のご加護にも感謝する儀礼なのではないでしょうか。
また、お子さんの成長は、親御さんご祖父母さんの成長でもありますので、「七五三」はご家族皆さんのお祝いなのだとしみじみ思います。

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